応え まばたき(棘 羽 花)
木立 悟






二重の夜が終わり はじまり
縦の星雲と重なるとき
呑みこまれる花 新たに低く
咲きうつる花


山から流れつく闇が
丘を切り取り 脈打たせてゆく
種を土に刺す月の指
浪を見つめることをやめない


空から空へ還りゆく
途切れ途切れの花びらに
同じかたちの音と影
少しずれながら腕ひらく


空に吊るされたままの空から
燃える麒麟が降りてきて
河口を喰らうけだものたちに
棘の生えた羽を手わたしてゆく


器は夜
裏は雨
坂の強弱
熱と花に看取られて


ちからの痛み
指ほどく指
街のかたちを
空へ沈める


浪と工場
蛇の骨
隣家の炎
窓に映る 海へ下る径


水底の火
羽と花
魚がくちずさむ
蒼い虹


枯れ枝の空に心を押しつけ
棄てられた街の一画を
よろよろとすぎるけだものは
焦げた羽を引き摺っている


巨大な石の鍵が砕け
誰もいない街が埋もれ
煙が幾日も幾日もうたい
耳を傾けるものは無く


風の無言 棘の春
川が削る 裏庭の陽
冬の土を踏みしめて
見えるはずもない友の背を見る


夜に積もる二重の解
重なりの上位の足跡に
さらに積もる粉の笑み
とまどいとよろこびを持ち去ってゆく


































自由詩 応え まばたき(棘 羽 花) Copyright 木立 悟 2013-02-15 10:50:22
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