火から生まれた
千波 一也


春から
いちばん遠い季節に
吐息は
ゆれる

遥か
列車の通過の幻想に
疑いもなく
聞き耳
立てて



苦しまぎれの憧憬が
いつかの砂地で
花開く

もう
誰ひとり忘れぬように
頑なに

自立を遂げる
影かたち



憂いは
自ら意志を得て

冬の
起源の日を告げる



圧倒的な精度で
圧倒的な
鮮烈さで

軌道はくれない

深く
くれない



命は
ことばは
火から生まれた

時に
消え入りそうになりながら
水を
わたって

夢も
祈りも
もろい強さも










自由詩 火から生まれた Copyright 千波 一也 2013-02-15 07:57:58
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