きりとり線
川上凌



さみしいアスファルトに薄い雪化粧
その上にきりとり線を描いてゆきます
おなじ歩幅で 一直線上に
きりとり線を描いてゆきます

振り返らない足あとは
戻らない昨日によく似ている

もうすぐさよならする教室から見えた
誰かが残したきりとり線
きりとって 貼って
出会って わかれて

そんなふうにして 誰かのきりとり線と
また混じり合って 別れてゆく

いびつに歪みながら
時折立ち止まりながら
それでもきりとり線を描いてゆく

優しく弧を描いて まっすぐ力強く
わたしは歩いてゆくのです
みんなもそれぞれのきりとり線を
描き歩いてゆくのです



自由詩 きりとり線 Copyright 川上凌 2013-02-13 15:47:39
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