雨フル傘フル
灰泥軽茶

ビニール傘から眺める景色は

どこか私がもう存在しない

未来の街を眺めているようだ

柔らかくて弾力のある筋肉で覆われた景色の下には

機械化された金属のリズムとメロディが

コンピューターによって

軽くて優しくて残酷で儚い気持ちにさせられるから

ビニール傘をくるくる回して雨粒が飛ばす

すると光の粒が乱反射して一瞬

私を粉々の粒々にして

幻の彼方へ連れていってくれ一瞬のうちに

また硬いコンクリートの上に連れ戻してくれる



自由詩 雨フル傘フル Copyright 灰泥軽茶 2013-02-13 02:42:55
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