小鳥
乱太郎

都会の人々が
いっせいに蝋燭に
明かりを灯したその夜

ひとつの灯が
消えた

わたし…
それっきり
くちびるは動こうとは
しなかった

友人の一人は
彼女の瞳は笑っていたと言い
別の友人の一人は
哀しげだったと言う

帰り際
それぞれ彼女との思い出を語りながら
夜の暗闇に散って行った

一人の青年が
小枝に止まっている
小さな鳥に気付く

そして
つぶやいた

君だね


自由詩 小鳥 Copyright 乱太郎 2013-02-12 23:57:32
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