今冬
ソリッド町子
忘られぬ窓辺できみは啜り泣く ポインセチアは赤よりも赤
粉雪が遠くの街の灯を消して夜はゆっくり来る二十二時
「踊ろう」と処女雪踏めば燃える足/素敵なものは踏みにじるのだ
真夜中に音も立てずに想い合う君も雪なら僕も雪です
山茶花は咲きこぼれたる白い蝋/散るだけなのだ/あとは散るだけ
月面の静かの海は水のない涙も凍る華氏三十度
踏切に「死ぬなら今」と風の吹く/「死ぬのはよせ」と勘違いする
伽藍堂/冬の夜空は少女の目/「魂どこか置いてきたのよ」
落ちていたあなたの長い髪の毛を掃除をしない言い訳にする
泣きたいと零時の過ぎた灰皿が涙の代わりに灰をこぼした