まどか絶唱(サブカル短歌&自由律)
黒猫館館長
・まだなにも知らなかつた頃 まどかの笑顔まぶしき
・インキュベーター その澄んだ瞳になぜに邪(じゃ)はみあたらぬのか
・マミられし者よ 後につづく者たちの戦いが始まる
・音ゲーの上のダンサー 杏子 蛇のごとしなやかな身体(からだ)よ
・食物に拘(こだわり)し杏子 ただ生きることに必死だつた君よ
・さりげなく専業主夫の父よ 劇の裏側で君は何を悩みき
・やがて魔女となる物語に 観客の少女らも眼を見開きぬ
・アヴェ・マリア 鳴り響く劇場に さやか君の最後の笑顔
・ワルギルブスの夜 君の悲しみに黒き夜のざわめきを
・娘に往けといふ母よ 今生の訣(わか)れと君は悟りたり
・忘却の後 証拠たるものはほむらの髪に残されし紅きリボン
・ほむら 残されし故寒くはないか 黒く光る高層都市のはざまで
・終劇 さらばそして五人の少女が音もなく闇へ消え去りてゆく
・五人のうち三人が死ぬ映画を観た後のビール にがき
・終電の中 女子学生の影にべったりと魔女が貼り付いてゐる
・「愛と勇気が勝つストーリー」ならねどわれはもう一度信じてみたひ
・魔法少女の映画観て 天仰ぎ星想ふ さらばまどかよ
・どこにでもいるならまどかよ 今夜は夢のなかで笑顔の君に逢ひたひ