親父の暇つぶし
梅昆布茶

銀色の矢が空から墜ちて来るそんな夜

僕は系統樹のほとりに佇んで生命の音を聴いていた

風がちいさく闇を巻き込んで通り過ぎていった

ときはすでに多くを語らず寄り添っているような気がした

君に電話したら彼女が出た

君はすでにいなかっただなんてね

またカラオケやりたかったな

ポップスのスタンダードナンバーを年甲斐も無く歌いまくったな〜

僕らはそれを親父の暇つぶしと呼んでいた

それは君のホームページのタイトルでもある


まあいいさいつかこうなるのは僕だって同じ

僕はたぶん最後の仕事となる古本屋を始めるだろう

金魚屋古書店とでも呼んでくれればいいさ

君の気に入りそうな本を数冊はとっておくさ

きみが生まれた頃の週間朝日だってあるんだぜ

君のお母さんも一人遺されてちょっとボケがはいって

でも彼女が一生懸命面倒みてるらしいから安心してくれ

みんなには電話で伝えておいた

また高田馬場の居酒屋でのもうや

またきっといつかね




自由詩 親父の暇つぶし Copyright 梅昆布茶 2013-02-08 04:34:36
notebook Home 戻る