赤いファンファーレ
佐々宝砂

血みどろの両手を大きく広げ、
髪を真っ赤に染めた少女が走ってくる。

抱きとめてあげなさい。
そして高らかに愛を歌え。

紅葉が落ちる時を心得ているように、
火だるまの愛は落ちる時を心得ている。

旗印は深紅、
頬は石竹、
珊瑚の唇に臙脂の血、
胸に描かれた愛の文字は、
緋色。

金管楽の秋、
燃え尽きる寸前の紅蓮、
すでに温度は低くなっている、
でもまだほんのわずか時はある、

だから抱きとめてあげなさい、
そして高らかに愛を歌え。




自由詩 赤いファンファーレ Copyright 佐々宝砂 2004-12-23 04:33:33
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