季節のあなた、そして、季節のぼく
ホロウ・シカエルボク



夏の香りがする鉢を
あなたは両手で持っている
鉢の中にはひまわりの
枯れた
ひまわりの花だけがひとつ


えんじ色のマフラーには
秋が詰め込まれている
冬のように白いセーターが
その秋を受け止めている


あなたの瞳は春のようで
ただただ
春のようで


ぼくは初夏のように退屈で
初冬のようにうら寂しく
衣替えのことばかりを気にしているように
椅子に
腰掛けている


あなたのいる窓辺から
ぼくは見えるだろうか
ぼくはただ
鮮やかな境界線の上
不思議な位置から上る太陽を眺め
不機嫌な角度で浮かぶ月を眺め


「季節」という旋律で呼ぶなら
それは
同じものだけど


あなたのいる窓辺から
ぼくは見えるだろうか
ぼくは
気にもならない光で日焼けをして
とくべつ寒くもないのにガチガチと震えている




自由詩 季節のあなた、そして、季節のぼく Copyright ホロウ・シカエルボク 2013-02-07 22:26:59
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