雨の鳥籠
ただのみきや

あなたはいつも雨降りで
子猫みたいに濡れそぼち
そのくせ強く匂わせる
刃物を当てた乳房のように


ぼくの真顔の疑問符も
蒼く滲んでインクのよう
何時のころから遺書めいた
ことば遊びが続いている


午後がゆっくり倒壊すると
消された影たちの堆積が
息苦しい闇を生み出して
もはや見つめることもできないのに


ぼくたちは互いの横顔ばかりデッサンする
稲光と雨で埋め尽くされたこの部屋で


いつか一緒に身投げした
そんな仲かもしれない
ぼくは記憶を失って
あなたはからだを失った


なんて馬鹿馬鹿しいことを考えてみる
何時からだろう 
雨の鳥籠
蒼く 湿った生活



自由詩 雨の鳥籠 Copyright ただのみきや 2013-02-06 20:34:09
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