沈黙
tomtom_poem


同じ沈黙でも

声が途切れる
そしてまたその声も
しかしまだ口琴を鳴らした手は
動いている
ゆっくり下に
降りてくる
見守る静寂は張りつめている

溶暗―すべての人工的におこした光を消し去った― 闇の中
セッションは終わった
ギターの撥ねる音、キイボードの高い音―それらは人工的におこされた波だったが―
音は途切れた
しばらく薄闇
演奏した人は動かない
静かに緩んでいる
この時空を共時体験した人々は
もう終わったのだと
決して思いはしない

灯りを望まない
ただひたすら
この何もない《場》

この至福感
つながり
手と手でなく
気と気の
安らぎ


自由詩 沈黙 Copyright tomtom_poem 2013-02-06 01:21:06
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