風のたより
そらの珊瑚

もう少ししたら
野焼きの季節になりますね
ふるさとの枯れ野に
火がつけられ
冬がおしまいになるでしょう

あなたには見えないけれど
焼け焦げた残骸の下には
根が生きているのです
春になれば
ふたたびそれらは芽吹き
夏には
あなたにも見えるように
あおあおと繁ることでしょう

根があるということは
また
生き直せるということです

わたしの卵はうまく越冬できたでしょうか
あたたかくなり羽化すれば
いのちがささやかに循環していくことでしょう

返信はもとよりいりません
羽衣を返してくださった
お礼を伝えたかっただけなのです

ありがとうございました

       かしこ

       いつかのアオバハゴロモより


自由詩 風のたより Copyright そらの珊瑚 2013-02-05 13:12:38
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