人間
千波 一也
ふところ広いあの人と
度量のちいさなあの人の
中ほどあたりが
わたしです
勇猛果敢な眼差しと
こわごわ逸らす上目遣いの
中ほどあたりが
わたしです
ひとの間に
ひとをならって
ひとは日になる
鳥になる
わたしのささいないつわりと
叶わぬ夢との中ほどに
誰かのねむりが
聞こえます
わたしの汚ないやり口と
惨めな悔いの中ほどに
誰かの初心が
映ります
ひとの間に
ひとをたどって
ひとつ、ふたつと位取り
ひとかど
ひとごと
ひと通り
真冬をしらないあの人と
火傷ばかりのあの人の
中ほどあたりが
わたしです
遠くへ行きたいあの人と
花を植えたいあの人の
中ほどあたりが
わたしです