それは無いだろうよ
ドクダミ五十号

昔の事だ

十年が一昔ならば

二つ以上の事

勉強だと

業務の足しだと

舌の肥やしだと

訪れたのだよ

有名な料亭に

有名人やら

著名人やら

訪れたと中居は自慢した


だいなし

ダイナーなのに

見た目はよろしい

鮎はワタヌキで

肝心の香りは養殖のそれ


季節は晩秋である

時にそぐわない

例えば

塩焼きではなく

よく肥えた

下り鮎の

ワタと卵のウルカと

背切りの炙ったもの

寄り添うでもなく

合わせたら


恐らくそこで観よと

指定したのだろう

足らずの私に


学んだよ

虚飾と云う無残を


一番の被害者は

美しき流れに舞い踊る様に

一見されるうおだろう

藻類をはむ必死を

否定されたうおだろう


食に謙虚に向き合うならば

やがては命に突き当たる

商売の成功とは

方向性が逆かもしれない

もてはやされるのは

虚実を現実に置き換える

商業的な魔法なのだ


さて

では

如何に


魔法を払う方法は

粗末にしない事に尽きる

一番の道具は

研ぎ澄まされた心だ

反映されているか

刃先を爪の表に当てる


自由詩 それは無いだろうよ Copyright ドクダミ五十号 2013-02-03 17:52:11
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