たとえ同じ朝陽を浴びなくとも
川上凌



電波塔の鉄骨が乱反射した
夜明けの星をいただくにも
夜のとばりが降りるにも
まだ早い

まるで白昼夢を見ているような感覚であった

誰を愛そう
何を信じよう
この歪んだ世界のなかで

宗教も同性愛も身分の差も肌の色も髪の色も
誰を愛そうとも
何を信じようとも
たとえ同じ朝陽を浴びなくとも
ひとりひとりの為に朝は来る

そこで
誰を愛して
何を信じるかは
いつだって僕の手の中にある

世界中の
ひとりひとりの手の中にある


誰を愛しても
何も信じても
同性を愛していても
身分の差があっても
肌や髪の色が違っても

電波塔の乱反射が美しく感じれるように
朝焼けも暮れゆく街も
すべてが美しく感じれるように

この世界は美しい

ひとりひとりが美しい

70億もの人全てが
同じ方向を向かなくても
朝陽はそれぞれを照らしてくれる

夜明けは全てに訪れて
朝焼けは全てを包む

誰もが独り産まれて死んでゆくのだ
もうなにも怖くない
何を信じても、誰を愛しても。

どの方向を向いていようと
ひとりひとりのために朝は来る







自由詩 たとえ同じ朝陽を浴びなくとも Copyright 川上凌 2013-02-03 13:21:01
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