路地裏
梅昆布茶

路地裏の朝顔が綺麗なのは
それに丹精を込めた人の息遣いや想いを
一緒に重ねてしまうから

そういった情緒を
たっぷり吸い込んだ花だから

アパートの洗濯物なんかにそれぞれの家族構成やら
夕餉の様子やらを勝手に想像してしまうのは
それと似た想いだろうか

もちろんなかには
盗んでみようかとも思う下着もちらほら

いいな〜
ちょっと陶酔感
やっぱ変態だなあと思いながら
自分を自制するのだが

路地裏には滅多に活劇も無く
でも最近はフィリピーナの姉ちゃんなんかも
いっぱいいるみたいだ

ルーリードという人のベルリンというアルバムのなか
あるいは他のミュージシャンたちもよく
ゲットーを歌う

ユダヤ系貧民街は永遠に貧しさと混沌の象徴なのだろうか
僕たちは貧民ではないのだろうか

路地裏にこそ人の匂いがこびりついて
とってもお肌に優しいはずなのだ

都市計画のなかで排除されてゆく人間のエリア
ショーウインドウ化する街並みに
人間は閉じ込められてゆく

衛生器具の展示会でもあるまいし
衛生本体はどうなるのだろう

セレブリティと呼ばれる実態のない言葉が谺する素敵な山脈だもの
ガラスの靴で登ろう

からのバケツを蹴飛ばすと
なかなかやかましいらしいが

僕たちはバケツを満たすために
生きているのかもしれないのだ

ただし都市計画のなかには僕は人間を見なかった

それは神殿か宮殿らしい

特別な人間が園遊会を催すところらしいのだ

路地裏の朝顔はそのなかで

何処で咲き続けてゆくのだろうか





自由詩 路地裏 Copyright 梅昆布茶 2013-02-02 15:01:44
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