雪上の虫
ぎへいじ


雪原の笹が体をふり
両手を振り
またなって片手を振って
やがて居眠りでも始めた様に埋もれた その後に

カラカラとスキーリフトに乗って虫達が上がって来る

白銀に立つその姿に
山肌を冷たく吹き抜ける風も雪煙を上げて祝福する

華やかな活気と静かな気合


別の虫もいる
不似合いと ぎこちなさが周囲の笑いを誘うが

脱皮しきれない体が成長を続ける新しい思いを締め付け 苦悩の末に腐り始めると
笑いは不愉快な者を見る目に変わって行く


それでも虫は ただ黙々と立ち上がっては転び

また転ぶ


虫になるのには覚悟が必要だ
今日の俺は練習の虫になり切れただろうか

明日の俺は 雪上の虫になりきれるだろうか

あこがれは止まらない





自由詩 雪上の虫 Copyright ぎへいじ 2013-02-02 12:37:42
notebook Home 戻る