水玉もようのカエル
月形半分子

あれは白鳥座の頭あたりだろうか、と15才の若いアマガエルが夜空を指差さしました
30になるウシガエルの私には星なんてもう見えません
けれど
見えるものには見えるのでしょうか
王冠のように、それがどんなに遠くにあっても

若いカエルも私もその夜は夜空ばかり見ていました
やがて真っ白い雲が夜空を覆いはじめて、月もその合間に蒼鉛色を滲ませながら隠れていきます。その辺りだけ雲が暗いので、私は少し怖くなりました。

水玉ってなんだろう、
若いカエルが突然呟きました
色かしらね、
と私。
違うよ、
と若いカエル。
もようかしらね、
と私。
違うよ、
と若いカエル。
何かしら、水玉って何かしら、水玉って何かしら、
と私。
あ、水玉になってみたらわかるんじゃないかな!

若いカエルがそう叫んだとたん
夜空の雲が晴れて、気がつくと私はひとりになっていました
私は悲しくなって、だから泣きました
そうしたらほっぺがなんだか水玉でいっぱいになってしまって、困ってしまったのでした。





自由詩 水玉もようのカエル Copyright 月形半分子 2013-02-01 02:51:50
notebook Home 戻る