事務員
ブルーベリー

(固まらない粉雪が踏み潰されて鳴く音にどこか似ていた)

開かれたバインダーの数字と目が合う
淡々と馴染む体温

ここはえらく日当りが良くて
裏を返せば何もないということ。
今日は沈んだ白に埋まっていて
スリッパの中の爪先は悴んで丸まる

2つのルール上、頑なな彼/彼女が吐いた450円が私を苛んでいて
無意識の与り知らぬ毒の蓄積は
伸び過ぎた爪で私のぬるみを抱き潰そうとしている

(蛍光灯に透かした。おざなりに書類机の上を払う。ビニールはねっとりと指の記憶に不快感を植えつけて、光の色になる。今日は重すぎる白が、刃を錆付かせ粘ついた。取ろうとして指先を痛める。
〈承認〉の押された書類を一束。真ん中に―(報告書は滲んでいる)―置く。
何の感情もない目で。ゆっくりと手を振り上げた。湿度の調整は、不十分だ)


窓から見える景色には
飛ぶ鳥の影すら居ない

(ハハもチチもひとりでいいです)


自由詩 事務員 Copyright ブルーベリー 2013-01-31 23:52:00
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