るりるりるりら るりるいら
凪 ちひろ

るりるりるりら るりるいら
はりはりはりら はりはいら

瑠璃色のグラスに 祖母が水を注いだ
古い民家のちゃぶ台で 縁側から射す光が
グラス越しに ゆるりゆらめいて
幼いわたしを 魅了した

庭では 無造作にのびた 女郎花(おみなえし)が揺れていた
太郎と呼ばれた柴犬が ときどき何かに吠えていた

るりるりるりら るりるいら
はりはりはりら はりはいら

ガラスのことを 玻璃(はり)とも呼ぶのだと
祖母が目を細めて言った
水晶の意味もあるのだと
楽しそうにグラスを揺らしていた

そのグラスは 昔プレゼントされたもの
誰から とは言わずに 内緒ごとのように教えてくれた

るりるりるりら るりるいら
はりはりはりら はりはいら 

むかしむかしのそのむかし
わたしが子どもだった頃
グラスがプレゼントされたのは
そのまたむかしむかしのこと


自由詩 るりるりるりら るりるいら Copyright 凪 ちひろ 2013-01-31 22:40:46
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