手のひら
まきしむ

マットレスの上ででんぐり返しを繰り返している
僕の番はまだ来ないよ、手の甲を掻いている

四角い部屋櫛を通すように手で梳く
マンホールの凹みに水がまだ溜まっていた
三階からそれを覗いている女性
八百屋から白菜が突き出ている

湯気がもくもくとたっている
道端からそれをただ眺めている

ポケットの中の小銭を数える
これでどこか行けるかもしれない
屈伸をする必要もなくなる、かも

手を振りあってそこは正門だった
既に上手く笑えなくなっていて
  
時間の問題、シーソーの片っ端がやけに重くて
飲み屋の連なる上で絡まる黒い線や鉄パイプが
肋骨のかわりに僕の支柱となり

 あと、2、30秒もあれば十分だった
のは気のせいで膿が見るに耐えない、トーテムポールをシャベルで打ち砕きだるま落としの具合で遊んでいた
 バックネットの裏に外へ抜ける道があってしゃがみこんで抜け出しては斜めになった草地を少しかけてみた
もう禿げ始めていた、膝小僧は傷だらけ、上手くなるカードゲーム、けんけんぱ、ひっ算のドリル

喪服を着た大人たちが円になり膝をついて
誰かの合図で手を合わし祈り始める草原
真似をしてぼくもやってみるが
ミツバチが飛んでいるので気が散って仕方ない
手のひら。


自由詩 手のひら Copyright まきしむ 2013-01-27 12:42:38
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