潮だまりに
奇っ怪な紫色の物体をみつけた
グロテスクな
おせじにも美しいとは思えない
そいつから
私は目を離せずにいた

素通りできない塊に
捉えられてしまった

学名　アプリシア　クロダ
父さんは日本人

あめをふらせるから
あめふらし
あまえに会いたくなったなら
故郷のあの海に行けばいいのか

おまえが
ものもいわずに　たたずんでいる
ただじっと
知られてしまった醜さに耐えている
産まれてしまった哀しみに耐えている
母さんは知らない
あの海は　遠く　さりとて近い

おまえがふらせる　あめは
いつだって
なぜか　しょっぱいよ