いくつもの永遠/椅子
はるな
からだを波のようになびかせて
白いあわだちをむかえる
いくつもの永遠が閉じこめられる
かつて少女だったすべての女性たち
かなしみを取り込んだなめらかな体に
くちづけをするとき
たしかにわたしはあなたになれました
かつて少女だったすべての女性たち
そこから逃れられない少女もまれに
いるのだと知ることもなく
ひとりが席をたつと
ちがうひとりが席へつく
お嬢さんいったい
何脚目だい と
尋ねる椅子へ
ばかね
と言って
はてしない行間
はてしない余白が
存在を約束されたものの傲慢さで
しらじらとうたいだす
かつて女性だったすべての少女たち
どこから来たのかもわからずに
どこへゆくのかもわからずに
いったい今
自分がどこへいるのかもわからずに