選択肢
まーつん

道を歩いていて嫌になるのは
いつも いつも 枝分かれしていくこと

その中から ひとつを選ばなきゃならない
一番素敵な景色を見せてくれるのが
どの一本かも わからないのに

僕はそれに疲れて
道を外れて 野原に出た

そこには全てがあった
花が笑い 芝が色づき 獣が吠えていた

そして僕は時間を忘れた
面倒な選択は後回し 今はここで楽しもう
蜜を舐めて 草に寝転がり 狩りに手を染め

…春の野に遊ぶ鹿の群れ
 矢をつがえた僕は
 罪のない命の中から
 肥えた一頭を探しつつ
 弦を引き絞り 考える…


生きていて一番難しいことは
多分 選ぶこと

全てを愛している人は 多分 何も選べないだろう
一つを抱きしめれば ほかの全てに別れを告げることになる

全てを憎んでいる人も 多分 何も選べやしない
一つを仕留めれば ほかの獲物をみんな逃がすことになる

限られた ものの見方や知識しか持たないのは
もしかしたら 祝福なのかもしれない

全てを見守り 導くなんて
神様に任せておけばいい

この世界は
でっかい銀の平皿プレートに盛りつけられた
色とりどりの料理みたいなもの

僕一人ではとても 食べきれやしない ゛


自由詩 選択肢 Copyright まーつん 2013-01-26 08:31:11
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