ノート(まつり おわり)
木立 悟






河口の雨
割れた水門
岩に触れると
聞こえる音
土の上の
午後の重なり


終わりまで歩いたのに終わりは無く
また同じ氷を引き返す
どの脚を使うか尋ねられ
むらさき色の鳥を選ぶ


途中で振り向くと
巨大なけもののかたちの氷が
沈んだ街の上に浮かんでいる
溶けかけた背中が
羽のように波を分けている


それにしても何故
朝は寄り道をするのか
いつもあいている明るい穴は
何処へつながっているのだろうか


人と人は去り
灯と灯が残る
正邪は火花
煙のいのち



ああ此処も終わったのか
はい 片づけに来ました
何度盗まれても空はそのままだな
はい 見る人の背中そのままです



つぎはぎの
騒がしい美しさ
冬の痛みを連れてゆく羽
凍りついた
岩をくぐる































自由詩 ノート(まつり おわり) Copyright 木立 悟 2013-01-25 23:56:28
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