叫んでみたところで
within

無の求道者が迎えた豊穣のとき
ディスクに残された熱狂が
見える、ここから見える
熱狂の虹がかかるよ
つかむことのできない真空に
近づいて
叫んでみようとおもう
叫ぶ、叫ぶのだ、叫びたい
つながる、つながりたい、つながっていないものの欲望

欲望の腹の中はいつも真っ白さ
くびれも筋肉もないたるんだ乞食さ
乞食の住んでる豪邸に招かれて
年代もののワインを飲んだら
悪酔いしてさ
次の日、仕事を辞めたくなったよ
すがすがしい朝というものを
随分忘れていたな
臓腑が震える 震える 連れていかれる牛たちの悲鳴が
臓腑を震わせる
今日も卵を産もう 胃袋が裂けるほどの卵を
この海は卵で作られたんだよ

ペットボトルが
浮かんでいる
波に打ち寄せられ
腐ることも
溶けることもなく
回収されるのを
待っているのだ
みんな死ね
みんな死ね
と呪っていたら
ほんとにみんな死んでしまって
独りになってしまった。
死にたい
流れ
ストリーム
流れ
全てを飲み込む
大きな口を開け
ダンシング
地球が身体を揺らす

変わる変わっていくのだ
変わることを憂うな
人語を失い
犬になろうとも
馬になろうと
全うするのさ
凶刃と化して
町を横切るのさ
どいつもこいつも
遊ぶ価値もない
死ぬだけの価値しかない
回りまわって
無に帰るだけ


自由詩 叫んでみたところで Copyright within 2013-01-22 15:56:34
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