谷
Giton
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きみたちの身体から発した熱は
端正な六角の結晶を溶き崩す
時空のしじまをかいくぐりたったいままで保たれていた正クリスタルの羽
気の遠くなる空の上から降りてきたたくさんのたくさんのフラクタルがいま溶け崩れ
きみたちの身体のまわりには大気のおののきにも似た影がまあるく沈み
厚ぼったい根雪がくろぐろと慎ましやかに退いてゆく
それは h A r U ‥‥というシニフィアンを
ぼくの脳髄に呼び起こす
ふんわりとした天使のヴェールをひろげるには
この白いカンバスはなんとふさわしいことか
チョコレート色に縮れた去年の枯葉だって落ちているのだ
峯々を渡る風のように幻視の透明なヴェールがひろがってゆく
赤や黄色の家々や たくさんの旗や鐘楼
きみたちのひそやかな笑い声がこの谷をうめつくす
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