誰か
はるな


ちょうど落ちてゆくさかいめに
じゅうたんをひいて
まつげを燃やして夜にのる

愚鈍なやつだといわれ
組みふせられるのがすきだった
目はつむらなかった
屈服するふりがじょうずで

秒針をぬすんで
オレンジ色をぬすんで
ついには水色もぬすんでしまう
寒がりで
あたらしい縫い目をいつもさがしていた
でもそれはみつからなかった

海へゆき
街へゆき
酒場へゆき
公園へゆく
でもそれはみつからなかった

じゅうたんをひいて
秒針をぬすんで
目はつむらなかった
ひと言も
かなしみを口にしなかった
死んでしまったかな
死んだらもう会えないねと
言ってはいたけれど
もう会えないねとは
どういう意味だろう






自由詩 誰か Copyright はるな 2013-01-19 16:39:11
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