誰か
はるな
ちょうど落ちてゆくさかいめに
じゅうたんをひいて
まつげを燃やして夜にのる
愚鈍なやつだといわれ
組みふせられるのがすきだった
目はつむらなかった
屈服するふりがじょうずで
秒針をぬすんで
オレンジ色をぬすんで
ついには水色もぬすんでしまう
寒がりで
あたらしい縫い目をいつもさがしていた
でもそれはみつからなかった
海へゆき
街へゆき
酒場へゆき
公園へゆく
でもそれはみつからなかった
じゅうたんをひいて
秒針をぬすんで
目はつむらなかった
ひと言も
かなしみを口にしなかった
死んでしまったかな
死んだらもう会えないねと
言ってはいたけれど
もう会えないねとは
どういう意味だろう