マルーン列車
藤鈴呼
阪急電車を初めて見た
宝塚には 未だ 行ったことがない
もしかしたら 一度 通過しているのかな
あの大きな橋は 何て名前だったっけ
一度だけの喧騒を 思い出しながら 呟けば
青い風船が ふわり 浮かんだ
浮かんだのは空で
風船の色と 同化して 見えないでしょうと
君は 微笑う
違うんだ 同系色にも 色々あってね
新緑の季節 一口に みどり と言っても
こんなにも 咲き乱れて 居るのかって
驚きで 芽が 張り付いて しまう みたいに
剣山で 幾ら つついても
幾らでも 色は 生まれ始める
葉の上に
茎の先に
華の中に
心の奥に
そうだ みどり って 知ってるかい
いつかは 少女の名前
だけど 今回は
松を 思い出して おくれよ
枝の先に この時期
可愛らしい つくし みたいな存在を
確認できるだろう
それが みどり
もう少し するとね
みどり摘み の 季節が やって来るんだよ
一つ 一つ 丁寧に 摘み取るんだ
枝が 好き勝手な向きで
固まって しまわぬ ようにね
そう 君の心と 一緒なのさ
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