坂の上から
Lucy

坂の上から街を見ました

街の向こうに 海を見ました。

海は細長く、曇り空の下に無言で横たわる

私が見ても

見なくても

風が吹いても

吹かなくても

誰かが泣いても

笑っていても

長い間住んでいたけれど

とうとうなじむことのなかったこの街

誰かを恨んでも

許しても

幾たびとなく

この坂道を歩いた日の

幾たびとなく

立ちどまり 海を視た日の

記憶が

遠いところにも 近いところにも

風にはためきながら

私を振り返っている



自由詩 坂の上から Copyright Lucy 2013-01-14 19:37:10
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