離婚慣れ
和田カマリ

嫁が頭が痛いと言うから
頭痛薬を飲ませようと寝室の引き出しを探していると
なんとラブホテルの割引券が出てきた

問い詰めてみたら、すぐに逆切れして
「わかった、わかった、離婚したら良いんだろう。」
なんだよそれ俺たちには子供もいるんだぜ
「お前が子供を育てろ!邪魔。」
どの口が言ってるんだよそれでも母親か?
「俺だって、仕事がある、相手してらんネエ。」

ふと痛い気配を感じて振り返ってみると
こういうときに限って・・・
ドアの隙間から、娘が見てたりするんだよね
子供にあんな顔させたら、ダメだろう俺達・・・

結局娘は、母親と出て行くことになった
どうしても、ママと行くといって聞かなかった
いきなり独りになった
何か不思議な感じだ
いい年して哀れだな我ながら


その夜もいつものように
テレビを点けっぱなしでうつらうつらしていた
ピリリリリッリ、着信音に驚き
現実に引き戻されてしまった俺
遠く離れて暮す元嫁だ

「娘が熱を出した、どうしてくれる?」
はあ何言ってるんだお前?
元嫁はギャーギャーと喚くだけ喚き散らかしていたが
しばらくするとスマホは沈黙した
結局何が言いたかったんだろう?


最近解かった事なんだけど
あいつの家族で離婚を経験していないのは母親だけ
あとのメンバー
父親も姉妹も全員離婚経験がある
なんちゅうか離婚当たり前みたいな
うすっぺらな節操のない奴らだったのだ

一番上の姉は
水道の検針員と不倫の果て結婚→離婚
次女は
電気の保安員と不倫を経て結婚→離婚
末の娘は
ガスの点検作業員と失踪後結婚→離婚
あいつら一体全体
我が国のライフラインをなんだと思っているんだ

まあ
良く調べもしないで結婚した
俺が一番悪かったんだけど・・・
どうだろう?


最近ふと娘のことを思い出す
あんな馬鹿家族の所から
一刻も早く引取ってやりたいとマジで思ってる

市主催のお見合いパーティーに参加して
新しい嫁さんをゲットしたら
どうかな
引取るってのもいいかも?

だけど
娘も案外成長する過程で
平気で離婚しちゃうような
くだらねえ女になっちまうんじゃないかな
なんたって
あの家族の危険な遺伝子を持ってるからね

それに新しい嫁さんも
子連れで新婚生活なんてありえないだろうな

まあとりあえず
難しい事はくよくよ考えないで
俺は婚カツをがんばるつもり
最近抜け毛が激しくって
急がないと
誰にも相手にしてもらえなくなりそうなんでね







自由詩 離婚慣れ Copyright 和田カマリ 2013-01-14 18:36:09
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