クリスタル・ゲージ
赤青黄

抑揚の中で光に悶える
今日の私達はそんな午後を迎えていた

開け放たれた窓の奥の空から 飛行機雲が落下するのを見て

私達は普段タンスの三段目に入れている宝箱という名の金庫を取り出し
中からエメラルドという名の鉱物を取り上げた


輝きは諸々にとにかくその緑青に私は恋焦がれている


だから私達はこれを宝箱の中に仕舞い 後生大事にその存在を隠そうとするのだろう

全くなんて嘆かわしい話

私達は暮れなずむ飛行機雲が墜落し 橙が白の一直線に分断された空へエメラルドをかざした


エメラルドで透かした見た空の景色は夜の森に潜むヒカリゴケそのものであった


苔とは虚仮でありコケなのだ、故にこの空もまた、こけ


偽りの空、美しさに乏しくとも乏しくない緑晶の檻


私達はこれをクリスタル・ゲージの空、と勝手に名付けることにした


自由詩 クリスタル・ゲージ Copyright 赤青黄 2013-01-14 02:59:52
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