黒い太陽
衣 ミコ



戦場へ赴く男たちの頬は
どれも蒼褪めて
眼だけが真っ赤な
獣のようにぎらぎらと燃えた
そして一様に
目指しているのだと言う
その先には
膨張しきった黒い太陽があった
女は男の眼の中に
その赤黒い光に照らされた
大地を見ていた
一滴の雨も降らない
枯れた荒れ地には
啄む木の実がなくなっても囀る
痩せた小鳥の姿があった



自由詩 黒い太陽 Copyright 衣 ミコ 2013-01-13 05:43:33
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