切符
もっぷ
黄唯色まであと少しの
三月の入り口で
ため息まじりに
切符ください
と言っている老婆がいる
本当にゆきたいのか
わからない
切符ください
まだ、佇んでいる駅舎の売り場で
あと少しで霞んで
立ち去ってしまう
きょう、
の
あしたゆき切符売り場で
老婆のため息は
後ろの行列を
うんざりとさせる
売ってもらえないのだ
それなのに
ください
とほらまたため息が
さびしいことは察する
みな、そしてわたしも
、ゆきたいだろう
あしたへ
赦されたいだろう
あしたへ
切符ください
いきなり船頭が現れ老婆の手から
六文銭を奪い
彼女を
連れ去っていった