冬の眠り
木屋 亞万

水さえ眠る凍てつく朝に
歩くもののいない歩道
寒さが静けさをより深く沈める

空が白んでいるのに
明るいままの街灯
信号機は気楽そうに青色を灯す

背の低い草叢に霜がおり
間接に照らす陽光を受けては
きらりと粒がざわめく

寒さに侵略された部屋
羽毛布団は最後の城壁
目を閉じてまた開く頃には
時はもう過ぎ去ってしまった後だ

冬場はずっと眠っている生き物にあこがれて
まだ眠る街の起床に間に合うように
夢を捨てて部屋を出る


自由詩 冬の眠り Copyright 木屋 亞万 2013-01-12 23:42:42
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