サシェ
Lucy

友が育てたバラの花びらを
ポプリというものにして
ひと壜 私にくれた

大きなガラスの広口壜にいっぱいに詰められた
枯れた花びら

乾いて 色も抜け落ちた
かさかさの花びらに
香りが宿る

蓋を取り そっと一つまみ
取り出すごとに
部屋中にひろがる

私は小さく切った麻布を袋に縫って
ひとつまみの花びらを入れ
サシェというものを作った

香りの袋
匂い袋

布の袋に閉じ込められた花びらは
控えめに香りを放つ

できあがったサシェを並べるごとに
友のバラの花園は
私の胸に近づいてくる

見事に咲き誇っていた
遠い夏の日の命の記憶が
冬の室内に 甦る



自由詩 サシェ Copyright Lucy 2013-01-12 22:33:27
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