時折カラオケでシナトラのMy Wayを
米語で朗々と悦に入って歌い上げるひとがいる
しかもシナトラの歌い方を真似てブレスまでそのままに

しかし　わたしは問いたい
あなたはレコードでもなくCDでもなく
あなたの耳で実際にシナトラのMy Wayを
お聴きになったことがあるだろうか

わたしはある
1989年2月23日
サミー・ディヴィスJrとライザ・ミネリを引き連れて
大阪城ホールで行われた公演で

それはMy Wayはシナトラだけのものだと
想い知らされた公演のエンディング曲であった

またMy Wayはポール・アンカが南フランスで
クラード・ウランソワとジャック・ルボーが作曲した
楽曲を聴きその曲の権利を買い取り
その旋律に少し手を加えて畏敬と尊敬を込めて作詞し
シナトラに贈ったものだ

別にあなたのMy Wayが無意味であると言っている訳ではない
あなたにはあなたのMy Wayがあるはずだろうと言っているだけだ
だれにもそれぞれにMy Wayがあるように

もしどうしてもシナトラの歌をお歌いになりたいなら
Young At Heartくらいにして頂きたい
それでもどうしてもシナトラの物真似をして
My Wayをお歌いになりたいなら
わたしの耳に届かない場所でお歌いになって頂きたい

きっとあなたは言い返すだろう
別に俺が好きで歌っているんだ放っておいてくれと

それならはっきりとわたしはあなたに言う
あなたの為していることはシナトラとポール・アンカに対しての非礼だと

シナトラとポール・アンカの手を借りずあなた自身か
あなたの親しい方にあなたのMy Wayをお創りになり
それをこころゆくまでお歌いになれば好いのではないかと
それこそがMy Wayそのものではないかと