米穀配給通帳
ドクダミ五十号

これを知っている人は

とても少ないと思う

1981に廃止された食料管理法

それで意味を成さない

ただの小冊子となったから

労働者向けと種々

家族の氏名

生年月日

住所が記されており

米を買う場合に米屋に見せる

そう記憶している

粗悪な米やそうでない米

混ぜた物が売られていた

標準価格米と言う

潤んだ米が半分もある年もあった

それさえも一度に買う量は制限されて

凶作の年はもっと悲惨だった

なじみの無い長粒種

わたしはそれを不味いと思わなかったが

世間の人にはすこぶる評判が悪かった

それが善意で送られ来たる物にも関わらず

お米が貴重で半分が麦

正月だけはそれを止めて

真っ白なご飯だった

たったの三日だったが

泣きながら食べたものだ

おいしい

おいしいと

それと配給通帳の記憶が重なる時

少年の私は何かが胸の奥底で

熱くたぎるのだった

おそらく生への渇望と楽しみ

叶わぬ

どうか貴方がご飯を食べる時

良く噛み締めて欲しいのです

お願いです


自由詩 米穀配給通帳 Copyright ドクダミ五十号 2013-01-10 22:48:46
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