恋歌
Lucy

   *いちばんほしいもの

守りたいもののあいだで
やがては 息もできなくなるので
いちばんほしいものは
手の届かない処へ

四角い窓のむこう
屋根と屋根の隙間のくらやみで
瞬いている星

見過ごしにした時のむこうへ
ここに居て
テレパシーを送る


  
   *ぼたん雪

なぜもう一度告白しあったりしたの
美しく諦めたはずの思い出を暴きあったり
古傷を癒しあえると思い込んだり

アスファルトの上に最後のぼたん雪
あとから あとから あとから消える



   *首飾り

忘れようと努力したものでした
それがとても難しかったころは

どんな潮に押されてか
足元に流れ着く時

一つ一つ拾いあげ
もう一度痛みの糸で結んでこの胸に
つないでおきたいと思うのです


  

   *恋歌

とりもどすことも
うめることもできないなら
はぐれたままで遠く呼びあっていたいものです

あなたが死んでも
私が死んでも
悔やまない覚悟を そっと 
育てながら


自由詩 恋歌 Copyright Lucy 2013-01-10 21:25:51
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