付箋
knit

新しい付箋を買いに出かけた
道すがら
ほろりほろりと
煙が立ち上っていたので
立ち寄った
少年がたくさんの栞を燃やしていたので
一枚もらった
少年は
本を持っていないと言うので
私は家に帰り
本棚から3冊持ってきてあげた
また来年も来るね
それまでに
その3冊を読んでおいて
近所の屠殺場を通り過ぎるとき
鉄のにおいしかしなかった
雌鳥しかいない鶏舎に続く道が
ぬかるんでいた
呼ばれていないのに
振り返ってみると
少年が本を燃やしていた
ほんのりと暖かいものが
私の頬を照らした
帰りにあの少年がまだいたら
付箋を燃やしてもらおうと思った


自由詩 付箋 Copyright knit 2013-01-09 23:27:39
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