新しい音
藤鈴呼


音の有る世界で目覚めた
自分の声を聞いて
あなたの声で 目覚めた

魘(うな)された夜には
幾つもの怒りを 爆発させて

これでもか、これでもか、と
言の葉は 刃に染まる

今まで一度も 発した記憶のないような
どこかで聞いた 見知らぬ台詞を
我が者顔で 呟けば
訳知り顔の 貴方が
ゆっくりと 撫ぜて くれる
何故? とは 問い詰めずに
音の無い 世界からの 
隔絶

音の響く 世界では
子供達の 笑い声
少し お年を召した
(それが 倖せの)

幾つもの 瞳
見守りながら 行列を 作る

大きく膨らんだ 不思議な空間を
飛び跳ねた 愉しい記憶ばかり
掘り起こして

思い出せぬ よしなしごとは
そっと 胸に 秘めた ままで

又 新しい 音が 響く

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自由詩 新しい音 Copyright 藤鈴呼 2013-01-09 12:52:55
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