一月
within

凍る
水の表面で
足先から
凍ってゆく
満ち欠けの
潮騒のように
訪れては
去ってゆく
感情に
感覚が
乗っ取られる
肩の上に
降り積もる
雪は
道にできた轍を
消そうとする
ゆっくりと
しみこんでゆく
電線に止まっていた
小鳥は
いつしか
いなくなる
きっと
巣に
戻ったのだろう
見上げても
誰もいない
話しかけようと
口を開くと
白い
呼気が
漏れる
凝り固まった
肩を回して
再び
前を見やる
誰かがいる
知らない誰かがいる
寂しい
寂しくない
寂しい
寂しくない
さみしい
風が強くなる前に
ゆかねばならぬ
世界が
リセットされたように
白で
埋め尽くされる
前に
沈殿する
泥土に
足を取られないよう
慎重に
ゆくのだ
行方知れずの
片割れを
探しに


自由詩 一月 Copyright within 2013-01-07 13:45:25
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