ポイントいりません(12針)
モリマサ公
くらがりが覚醒している
背筋を伸ばすとからだがこまかく震えているのだが
それはそれ以上のことにもそれ以下のことにもならなかった
全てが語尾上げのコミュニケーションがつくりだす古めかしさで
ばかなほうががきもちいいのか
なるべく確信には触れない方向で物事をすすめていく
空間がかわいている
ほっぺたすれすれをかすめて
まぼろしのわら半紙が枯れ野原の宙を
舞う
ひゅっ
ひゅっ
破れかけている
という意味でわたしたちの肌はなにいろなのか
判断つかない
凍り付いたフロントガラス
はがすときの
がりがりいう音が文字になってあたりをよごしていく
耳のそばで青いワンピースの双子がしゃべっている
それを騒ぎながらみているうしろ姿とうしろ姿とうしろ姿
それぞれの理由がはりついている
何時
何分
何秒
ショーケースはやさしくてひだまりのようにあたたかい
あっちでは
サテンのリボンを
頭にまいて
どろにまみれた
歌手が
「あなたのことばになってそのくちのなかで今にもとけだしてしまいたい」
「ナイフはつくりものだったので」
「わたしは死なない」
つぶやくように吐き出している
なにかを考える
なにかって一体なんのこと?
空白
心音
なにを中心に
なにを
どうして
どうしてそこにいるのか
そうしてどのようにしてどこにいくのか
いってどうするのか
つぎはどうするためになにをはじめるのか
12針縫った額の傷はもう治りかけていた