忘却
たもつ



あなたの育てていたザリガニが
アメリカザリガニが 
また大きくなりました。
時計台の近くで
風は風の音をたてて。
私たちの脱皮とは
いったい何だったのでしょう。
生きることと死ぬことは必ずしも
イコールではないのに。
ザリガニがハサミを
立派なアメリカザリガニのハサミを
大きく振りまわしている間に
あなたの購読していた雑誌は廃刊となり
私はあなたのことも 
忘れてしまったような気がする。
 
 


自由詩 忘却 Copyright たもつ 2013-01-05 12:24:51
notebook Home