末広がり
るるりら

まほろばが うたいはじめるのです
フライパンの中は カタクチイワシの まほろばなのです
心が自然と フライパンに降りてゆき
放物線をえがいて 炒られて対流する香ばしい香りに
うたいはじめるのです
ごまめのうたの伝承は
イワシなのに ごまめ
田んぼに まかれたイワシたちの
おかしらつきを 田んぼになったつもりの心で いただくのです

まかふしぎな くろまめは
お鍋の中で くろぐろと 露ややかに光る ふくよかなのです
心が自然と お鍋の中におりてゆき
ゆげが あたりにたちこめると
しっかりと しっかりと 煮ふくまり
うたいはじめるのです
くろまめの転生は
まめまめしい艶やかな こころの ころころ
ころころのこころで いただくのです

八時間は 煮含めましょう
音楽はピアノのころころとした楽曲で
すっきりと甘くしあげましょう
鍵盤の数も88ですもの
あなたとわたしが 連弾しますように
そんな こころで いるのは

ひみつ
です


自由詩 末広がり Copyright るるりら 2012-12-29 20:53:11
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るるりらの 即興ゴルゴンダ