女子高
北大路京介

この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは関係ありません


佐藤:私の名前は佐藤亜美。この物語の主人公。
   北大路学園に通う17歳の高校3年生。
   これはある日の教室の出来事である。

(暗転)

ライトがついて舞台は教室。先生が入ってくる。
先生以外は女子生徒。

高橋:起立、礼、着席

先生:授業をはじめる前にちょっと聞いてくれ。
   秋元の給食費が盗まれた。

秋元:先生、給食費じゃなくて財布です。うちの学校、給食ないです。

先生:ああ、そうだ。給食なかった。
   秋元の財布がぁ、何者かに盗まれた。
   みんな顔を伏せて。
   秋元の財布を盗んだ者、黙って手をあげなさい。

板野、黙って手を挙げる。

先生:板野か。あとで秋元に返しておくように。

高橋:そういうの言っちゃダメやろ!

先生:言っちゃいけなかったの?

高橋:顔を伏せたのは何のため?

先生:心に手を当てて考えなさい的なやつ

高橋:そういうのは黙って、あとでなんとかするもんでしょーよ

先生:そうなのか。めんごめんご。
   それから、篠田は放課後、職員室へくるように。
   美味しいミルクティーを飲んで先生とお話ししましょう。

高橋:篠田さん、行っちゃダメ!

先生:先生は、篠田と仲良くなりたいんです。先生は篠田が好きです!

高橋:そういうの言っちゃダメなんだって!

先生:好きなら好きと言える大人になれ!

高橋:教師と生徒!

先生:校長先生の許可もとってあります。

高橋:マジで?

先生:校長の弱味を握ってるんで大丈夫。

高橋:そういうのアカンやろ

先生:篠田の両親の弱味も

高橋:弱味握る天才か!

先生:いやぁ、それほどでも えへへ

高橋:照んな! 篠田さん、行っちゃダメ!

篠田:・・・。

先生:ミルクティーには、科学の山崎先生からもらった惚れ薬を入れておきます。

高橋:そういうの言っちゃダメやろ!

小嶋:篠田さんだけズルい! わたしもミルクティー飲みたい!

高橋:そっちかよ!

松井:わたしも飲みたい!

高橋:おまえもかよ! あやしい薬入ってるんやで!

峯岸:レモンティーにしても良いですか?

先生:良いですよ

片山:紅茶に合うケーキ焼いてきました!

高橋:用意が良い!

大島:わたし、脱ぎます!

高橋:ストリップしない!

指原:先生! 私、先生のこと好きです!

先生:先生はなんとも思ってません


宮澤:先生は、篠田じゃなくて彩ちゃんのことが好きだと思ってた

先生:彩ちゃんというのは梅田のことか?

宮澤:そうです

先生:梅田は、我が子として好きなのだ。ほら、梅田の目元、先生によく似てるだろ?

梅田:先生が、私のお父さんだったのですか?

先生:そうだよ、彩

梅田:ええっ いままでお父さんだと思っていた人は?

先生:彩が私の子供だと知らずに育てていたんだろうね。

高橋:お父さん、かわいそう

先生:お父さんは私だ

高橋:ややこしい! DNA鑑定して!

梅田:先生のこと、これからは「お父さん」て呼ぶね。 ね、お父さん!

高橋:なに、これ


篠田:先生。わたし、やっぱり先生についていけません。

高橋:よかった。まともな人おった

先生:篠田は、西大路大学に行きたかったんだったな。推薦入学できるがどうだ?

篠田:よろしく御願いします

高橋:いやいやいやいや

篠田:受験勉強したくないもんで

篠田、ウインクして舌をだす



指原:先生! 私、先生のこと諦めません!

先生:諦めなさい


渡辺:先生! 秋元さんの財布盗んだの私です!

高橋:真犯人?

板野:せっかくかばったのに

渡辺:いいの。嘘つきは泥棒のはじまりっていうから

高橋:あんた泥棒やん!

渡辺:秋元さんの財布に偽札が入ってました!

秋元:偽札じゃない! 一億円札だ!

高橋:偽札やん!


佐藤:ちょっと!ちょっと!
   わたし主人公なのに全然喋ってない!
   しゅ・じ・ん・こ・う・な・の!

北原:出たな主人公!成敗してくれる!

高橋:なに?この展開?

佐藤、両手をチョキにして額の前に掲げる

佐藤:主人公ビーーム


ナレーション:・・・。 なにも 起きなかった


先生:先生は眠くなってきたので保健室で寝ます

高橋:そういうの言っちゃダメやろ!


 
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自由詩 女子高 Copyright 北大路京介 2012-12-27 20:27:26
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