きょうも問う
もっぷ

きみの産声は
午前6時のものだったらしい
かつて手帖があったころ
盗み視た
かすかな記憶
その時きみを照らしていたのは
夜明けという天然のシャンデリア
きらきらとさやかに
祝福はあったのだと信じている

信じている

凪いだ海原をたずねて問う
むくわれるのでしょうか

ただそれだけを

生きている、こと
それを続ける、ということ

むくわれるのでしょうか

きょうの夜明けに立ち会ってみれば
これからおとずれる白日は
どうやら陽光とおだやかを
約束しているようだ

きみの産声の日にも約束はされていたのか
問うてみる
誰に
お隣の鉄工場のひと?
向かいのいまは廃業している中華屋へ?

ここ、は故郷じゃない
応えるすべなどない土地柄
愛想笑いばかりが
問う真剣さに立ちはだかって
わたしが立ち去った後には
速やかなる忘却が待っている
だけなのにきょうも、


自由詩 きょうも問う Copyright もっぷ 2012-12-25 18:34:27
notebook Home 戻る