あなたが切なくて悲しくてやるせないとき
それをどうやってやりすごしていますか

愛するひとに逢いにいく
とてもいい方法だと想います

でもそのときに愛するひとがいなかったら
あなたはどうするでしょう

とても親しい友だちに逢いにいく
それも素晴らしい方法だと想います

でもそのときに親しい友だちがいなかったら
あなたはどうするでしょう

こたえられませんよね
あなたのこころは路頭に迷うだけですもんね

ぼくがひとつ佳い方法を教えてあげましょうか
もしあなたがジャズを聴かないひとであっても

このプレゼントをどうか受け取って下さいませんか
ぼくがいまのあなたのようにこころが路頭に迷ったときに

必ず聴く大好きなベーシストであるPAUL CHAMBERSが
1957年の7月14日に録音したものです

アルバム・タイトルは《BASS ON TOP plus one》ですが
そこに収められた全7曲を聴く必要はありません

一曲目の《YESTERDAYS》だけで充分です
ビートルズのポールが創った《YESTERDAY》じゃないですよ

昨日をテーマにした楽曲ではありません
昨日までのすべてをテーマにしたもので

1933年のミュージカル《ロバータ》の主題曲で
ジェローム・カーンという人物が作曲したものです

でもそんな能書きなど覚える必要はありません
CHAMBERSがbowと呼ばれる弓で唱うかのように弾く5分53秒で

路頭に迷ったこころがほんの淡く朧なものですが光を見つけます
どうか受け取ってこころが路頭に迷ったとき聴いて下さい

あなたにお贈りするのになんの他意も意味もありません
ぼくがただいつもあなたの詩から頂いている多くのものの
恥ずかしいほどのほんの僅かなお返しにしか過ぎません

お逢いしたこともないあなたですが
あなたのこころが路頭に迷うことなく
多くの方のこころに沁み込む詩を編んで下さいと祈る気持ちだけです

そしてぼくがもっとも強く願うのはあなたがこのCDを
ジャズを愛するようになられた場合を除いて
一生お聴きにならずに済むことであることも添えておきます