体育の時間
うめバア

せんせいが言った
好きな人どうし、ふたりぐみになりなさい
みんな、あわてて、ふたりぐみの相手を探しに走る
適当に、となりの子とでも手をつなごうと思ってたけど
となりの子はとっくのとうに
向こうから来たあの子とがっちり手をつないでいる
ならば後ろはどうかと持って見回すと
やっぱり後ろの子も、別の子と落ち着いている
ありゃりゃ

わかっているのだ、クラスの人数は奇数だから
ふたりぐみでは1人あまり
みそかっかすだ、友達ゼロだと思われたくないから
みんな、必死で、なるたけ気に入った子と手をつなごうとしてる
みんななかよくなんて建前で
やっぱり、相性のよい子と、一緒でいたい
安全でいたい 身を固めてたい 学校ではね

守備のよい子は、最初から
先生が「ふたりぐみ」というのを予測して
あらかじめ手をつなぐ人と、約束している
それはそれで、かなり保険がかかってる
でも、いつもふたりぐみっていわれるわけじゃないし
いつもその子とというのもどうか
なんて思っていたら、またおくれをとる

知らないあいだに、とっくのとうに
みんな、ふたりぐみか?
結局のところ、あたしが手をつないだのは
さいごに残っていたハナちゃんで
ハナちゃんは、ちょっとみんなと違うことで知られているから
なんとなく、だれも手をつなぎたがらない
でも、きょうは1人、お休みがいるから
これで全員、偶数で落ち着いた

ハナちゃんは、運動神経があたしと同じぐらいかそれよりもなおニブイので
うまとびも、のばしあいっこも、かみあわず
なんだかおかしな2人になってしまう
そのうちに、どうでもよくなって、くっくくと笑ったら
ハナちゃんも、くっくくと笑った
うしろの方で2人、くっくく、くっくくと笑いながら
顔を見合わせた
くっくく、くっくく

空が青くて、冷たくなった
2学期はもう終わり
体育なんて、ダイキライ

みんなはまだ、ふたりぐみなのかなぁ〜


自由詩 体育の時間 Copyright うめバア 2012-12-23 01:18:11
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